動く手話方言集

2018/06/13

毎日新聞 2018年3月25日

 各地で異なる手話の「方言」を動画で集め、データベース化する「日本手話話し言葉コーパスプロジェクト」が2012年に始まり、進んでいる。取り組むのは、生まれつき耳の聞こえない大杉豊・筑波技術大教授(手話言語学)を中心とするチームだ。

 各地の聴覚障害者協会などに呼びかけ。日常生活でよく使う単語を、ろう者に手話で表現してもらっている。これまでに茨城、群馬、富山、石川、奈良、福岡、長崎の7県分を完成させ、ウエブサイトで公開した。大杉教授は「手話は地域や世代で違うことを知ってほしい。手話を生きた言語として見直すきっかけにもなる」と意義を強調する。

 手話のデータベース化は英、仏、オーストラリアなど海外でも進んでおり、比較もできるようになる。

 表現の違いは災害はじめ緊急時の意思疎通などで課題にもなるため、全国共通の「標準手話」の作成も進んでいる。全日本ろうあ連盟の久松三二事務局長は「ろう者にとって地域で使われる手話への思いは強く、標準手話と、地域の手話の共存が大切」という。