障害者差別 相談142件

2018/04/08

神戸新聞 2018年4月3日

 障害を理由とした差別的な扱いを禁じた障害者差別解消法の施行後、兵庫県や神戸、姫路、西宮市など計6自治体に障害者らから寄せられた相談のうち、差別の疑いがあり、自治体が事業者や施設に事情を聴いて改善を促すなどしたケースが142件あったことがわかった。

 神戸新聞社の調べでは、3月末現在で県内の中核市以上の6自治体に寄せられた相談・問い合わせは計600件以上に上る。法の趣旨などについて問う内容が多かったが、2割程度で差別的な扱いが疑われた。内容は、車いす利用者が飲食店で空席があるのに「満席」と言われ、入店を拒否された▽電動車いす利用者がバスの乗車を断られた▽視覚障害者が銀行で代筆を断られた▽研修受講時に手話通訳を依頼したが対応できないと言われた、など。

 多くの自治体は内容によって双方から聞き取り調査をするが、罰則はない。内閣府障害者施策委員会の委員で、同法の基本方針案作成に携わった筑波大学の柘植雅義教授は「障害者への配慮は、義務を伴う『ルール』。差別が減ったかどうかを市民が監視し、障害者理解の機運を高めていく必要がある」と指摘する。

 脳性まひがある姫路市の小島芳郎さん(45)は、銭湯の利用を巡って差別的対応を受けた経験がある。利用を断った銭湯の1軒を運営する会社は、姫路市の説明を受け、小島さんに謝罪した。さらに「障害者の対応について教えてほしい」と依頼、社員研修での講演が実現した。小島さんらは「障害者をひとくくりにせず、個性や人格に目を向けて」などと語った。社員らの「どんな人が来ても受け入れるべきなのか」との悩みに「設備や人手との兼ね合いもある。当事者の話を聞き、可能な範囲で受け入れを」と答えた。小島さんは「バリアフリー設備が整った施設は増えてきたが、人の心の準備はまだまだ。求めがあれば、当事者の思いを伝えていきたい」と話す。