教育の窓 高校で通級指導、社会性育成 試験導入 大阪府立柴島高校

2018/04/08

毎日新聞 2018年3月25日

 発達障害などの生徒が通常学級に在籍しながら特性に応じて別室で一部の授業を受ける「通級指導」が、新年度から公立高校でも始まる。指導法はまだ手探りで、専門性の高い教員の確保も課題だ。

 柴島高校は、文部科学省が全国で36校指定した通級指導研究指定校の一つで昨年10月から試験的に導入した。4月からは生徒2人が、社会で生活していく上で必要な対人関係などを学ぶ。

 通級指導の対象となる児童・生徒は発達障害や言語障害、情緒障害などさまざま。小中学校では1993年に導入された。ニーズは年々増え、文科省によると2016年度には、全小中学生の約1%に当たる9万8311人で、初年度の約8倍となった。義務教育終了後、障害のある生徒の学びの場は一部例外を除き、これまで高校の通常学級か特別支援学校に限られていた。文科省の調査をふまえ、専門家会議が高校でも通級指導を導入すべきだと報告し、18年度からの制度化が決まった。個別指導が原則だが、必要に応じてグループ指導も認められている。

 ただ、高校の通級指導は一気に広がるわけではない。現状では、きめ細かな指導ができる専門的知識を持った教員が少ない。さらに高校は小中学校と異なり、進学や就職も視野に入れた指導が必要になる。単位認定の基準をどうするかなどさまざまな課題もある。