新型出生前診断 本格実施へ対象施設拡大 指針見直し方針

2018/02/02

毎日新聞 2018年1月28日

 妊婦の血液から胎児の病気の可能性を調べる新型出生前診断(NIPT)を巡り、日本産科婦人科学会(日産婦)が、倫理面から現在は臨床研究に限定している指針を見直し、本格実施に踏み切る方針を固めた。中絶につながるため「命の選別」との批判も根強いが、高齢妊娠の増加で高いニーズに応える必要があるとして、受診できる施設を大幅に増やす。ダウン症など3種類に限っている対象疾患や妊婦の年齢要件の緩和も段階的に検討する。3月の理事会で決定する。

 NIPTは手軽で精度が高いのが特徴。国内では2013年、35歳以上の妊婦らを対象に、認定施設のみが実施できる臨床研究として開始された。近年は医学会の認定を受けずに検査する無認可施設が登場、限定条件を無視した実態が問題化している。このため、中心的に取り組む共同研究組織「NIPTコンソーシアム」は昨年11月、「研究の終了と臨床への移行」を日産婦に提言した。

 認定施設は当初の15から89まで増えたが、日産婦は進呈要件を緩和する一方、医師に研修を課すなど無認可施設と差別化しつつ、認定施設を最大600まで拡大する方法を検討する。