「不妊手術の強制、違憲」 旧優生保護法 女性、国を提訴へ

2017/12/23

朝日新聞 2017年12月4日

 知的障害を理由に、同意なく不妊手術を強制され、憲法の保障する幸福追求権を侵害されたとして、宮城県の60代女性が国に謝罪と賠償を求める訴訟を起こす。原告側によると、同法による不妊手術の違憲性を問う訴訟は全国で初めて。

 情報公開請求で宮城県が7月に開示した手術台帳には、「遺伝性精神薄弱」を理由に、15歳で卵管を縛る処置が施された記録があった。女性が事前に国や県から説明を受けた記録はないという。女性の義姉によると、親族に障害のある人はおらず、「手術するために『遺伝性』という病名をつけたのではないか」「残酷で人権無視以外の何物でもない」と話した。

 国連の女子差別撤廃委員会は2016年、優生手術の実態調査や手術を受けた人への補償を日本政府に勧告。日弁連も今年2月、「優生手術が対象者の自己決定権を侵害し、差別だったことを認め、謝罪・補償すべきだ」との意見書を国に提出した。

 国は難色を示しているといい、女性の代理人の新里宏二弁護士は「障害者が出産を自分で決める権利を奪った旧優生保護法の是非と、人権侵害への補償を放置している国の責任を問いたい」と話す。