認知症事故に救済給付金

2017/12/23

毎日新聞 2017年10月31日

 神戸市は認知症と診断された高齢者らが起こした事故などについて、上限付きの給付金を支給する全国初の救済制度を創設することを決めた。多額の損害賠償金が見込まれる鉄道事故を含めるかは、検討していく。今後条例化し、2019年度の開始を目指す。

 介護保険法の基準で認知症と判定された神戸市民は、今年3月末で約4万7000人。加害者か被害者が市民で、交通事故や暴力行為などで第3者にけがをさせた場合を想定。第3者委員会を設置して、対象となる事故や給付額を判定する。若年性認知症の人も対象とするかについても協議を進める。給付金は公費を柱とし、金額は自賠責保険などの上限額約3000万円を参考に検討する。

 認知症の人の起こした事故については、07年に愛知県でJR東海が約7200万円の賠償を求めて家族を提訴。1,2審では全額や一部の支払いを命じたが、最高裁は家族に賠償責任はないとした。

 昨年、神戸市でG7保健相会合が開催され、認知症の人に優しいまちづくりを進める「神戸宣言」を採択。久元喜造市長が家族の負担を減らす公的救済制度を設立する意向を表明していた。