障害者2人期日前投票できず 豊中市 公選法の壁

2017/10/22

朝日新聞 2017年10月19日

 重い障害のため自筆が難しい有権者3人が18日、期日前投票をしようと豊中市役所を訪ねたが、2人が投票できなかった。公選法が認める代理投票は、2013年の改訂で家族や付添人はできなくなり投票所の係員に限られているためだ。

 脳性まひの中田泰博さん(45)は、憲法15条が保障している「投票の秘密」には公権力を行使する投票所の係員に知られないことも含まれると考え、自分が信頼するヘルパーによる代理投票を求めた。しかし係員は「公選法に違反することはできません」と認めなかった。中田さんは、公選法改定後にあった昨年7月の参院選でも、ヘルパー代筆を拒まれて投票できなかった。このため今年3月、改訂公選法は憲法違反だとして国を訴え、大阪地裁で係争中だ。中田さんは「改憲前の最後の選挙になるかもしれないからぜひ投票したかった」と話した。

 体幹機能障害がある牧瀬武大さん(52)も中田さんと同じ理由で断られた。「腹立たしいです」とつぶやいた。

 中田さんは、改訂公選法が障害者による選択の幅を狭めていると訴える。障害者差別解消法が「合理的配慮」を行政に求めているのだから「その人に合ったことをどう実現するのかが合理的配慮ではないか」と話した。22日の投票日にも再挑戦するという。