報告 やまゆり園事件から1年(下)

2017/08/02

朝日新聞 2017年7月26日

 自分たちのことを自分たちの言葉で話そうー。今月8日、横浜市でこんな集会が開かれた。知的障害のある本人が中心のグループ「にじいろでGO!」が企画した。集会には支援者や家族を含め約70人が集まった。
 参加者の一人、真鍋晃一さん(48)は「知的障害者は何もできないと思われがちだけれど、そうじゃない。生きている姿をもっと多くに人に伝え、同じ人間だということを知ってほしい」と強調した。
 事件の被告が「障害者なんていなくなればいい」と供述したと報じられ、傷つき、憤った障害者たちの中心にいるのが、「にじいろでGO!」会長の奈良崎真弓さん(38)だ。昨年11月、仲間を募ると真鍋さんたち9人が集まった。事件への思いをどう表せばいいのかわからなかった人たちに、奈良崎さんは真正面から問いかけた。「絶対許せない」との声が上がった。「にじいろGO!」は、この時のメンバーと有志で今年1月に発足、定期的に集まり語り合っている。
 こうした活動を全国に広めようと、奈良崎さんは2月に札幌で講演、5月には徳島県松茂町でワークショップを開いた。「自分たちが生きている姿を知ってもらい、声を上げることが『障害者はいなくなればいい』という考えをなくすことにつながる。殺された19人には人生があり、夢や希望があったはずだから」 これが、奈良崎さんたちの思いだ。