報告 やまゆり園 事件から1年(上)

2017/07/27

朝日新聞 2017年7月23日

 相模原市の「津久井やまゆり園」で昨年7月26日、入所者19人が殺害され、職員3人を含む27人が負傷した。この事件で命を落とした女性(当時60)の弟(58)は今年6月、横浜拘置所で植松聖被告(27)に面会した。
 植松被告は、拍子抜けするほど「普通の子」だった。小柄な体をくの字に折り曲げ、「このたびは申し訳ありませんでした」と言った。沈黙の中、弟は切り出した。「本当に謝罪をしたいなら何か言葉が出てくるはずでしょ。ごめんなさいと言って終わりだったら、そんなの謝罪じゃないよ」「姉は静かに寝ていたんだよ。職員さんにもほとんど迷惑かけていないのに、それでも憎かったの?」―「いえ、憎くありません」。
 2月に殺人罪などで起訴された直後、朝日新聞の記者との面会に応じた被告は「遺族の方に謝りたい」と語った。その記事を読んだ弟は、どんな人物か、本人に合って自分なりに答えを見つけようと思った。しかし、質問を重ねても、植松被告は低くうめくだけだった。
 面会して、被告が事件の重大さを理解していないようにみえた。今後も面会するつもりでいる。「彼に何か伝えたい」と探し続けている。
 6月、朝日新聞記者に2通の手紙が届いた。丁寧な字で一字一字しっかりつづられていた。「意思疎通がとれない人間を安楽死させるべきだ」。そう書かれていた。また、障害者を殺害しようと考えたのは、トランプ大統領の演説をニュースで見たのがきっかけだったと記されていた。