
教育の窓 「通級指導」現場は今/ 上 障害のある子の力を引き出す
毎日新聞 2017年6月19日
障害のある子どもたちが、在籍する通常学級とは別の教室で一部の授業を受ける「通級教室」。今年3月には児童・生徒数に応じて教員数が決まる「基礎定数」の対象となり、教員の増員が図られる。自治体や学校で取り組みに差がある中、埼玉県の熊谷市立富士見中学校には全国から視察に訪れる。
富士見中が注目されるのにはわけがある。生徒一人一人のニーズに合わせて時間や教材を作り、個々の力を引き出しているからだ。三富貴子教諭(49)は「何につまずいているのかは、一人一人違う。既存の教材を使うこともあれば、それを改良して使うこともある」と話し、「学校生活の大半は勉強の時間なのに、つまずいている子をそのままにしておくわけにはいかない。子どもの問題ではなくて、学び方の問題なんです」という。
文部科学省の研究開発校として通級指導教室を設置してから10年。その間、約50人の卒業生全員が高校へ進学した。三富教諭は「それぞれに合った学び方で成績が上がると、自尊心を保つことができる」と語った。
通級指導教室は、発達障害や聴覚、視覚に比較的軽度の障害がある児童・生徒が、通常学級に在籍しながら、別室で教科の補充指導などを受ける制度だ。始まって24年になる小中学校に加え、2018年度から高校にも導入されることが決まっている。
高校でも対象になるのは、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)のほか、自閉症や弱視などの生徒だ。通常の教育課程に、障害に応じた指導を加えるという位置づけで、生徒の自立と社会参加を目指す。
文部科学省によると、小中学校で通級指導を受けている児童・生徒は年々増える傾向で、10年間で2倍以上となり、16年度には9万8311人となった。昨年度設置していたのは、小学校3814校、中学校690校。高校では約30校がモデル校として設置している。





