希望の現場―私が変える― 3、障害者のフラワーショップ運営

2017/01/14

朝日新聞 2017年1月4日

 東京・南青山にある「アプローズ南青山」は「就労継続支援B型事業所」で、インターネットでフラワーショップ「ビスターレ ビスターレ」を運営している。障害者が作った贈答用の花束やフラワーアレンジメントを約3千~1万円で販売したり、企業の受付や店頭に飾る花なども請け負う。

 事業所を作った光枝茉莉子さん(32)は都庁で福祉の仕事をしていた。障害者が働く現場を見て回り、箱のくみたてやラベル貼りなどの作業が多いこと、工賃が安いことを知った。「障害のある人が感性やセンスを生かせる仕事で、工賃アップを目指す場所を作りたい」と、都庁を辞め、2014年に事業所を開いた。スタッフは花や福祉の職業指導員など7人。精神、知的、身体障害のある45人が登録している。

 昨年度は約1100万円の売り上げがあったが、工賃アップは道半ばだ。現在の基本時給は120円。技術や取り組む姿勢などを評価して加算しているが、「知名度と生産性を上げて理想とのギャップを埋めていかないと」と光枝さん。

 一方、ここで自信を取り戻した11人が就職していった。光枝さんは「仕事を任され、評価されることで、自立心や自尊心が生まれる。それを引き出すのが私たちの役割」。「ビスターレ ビスターレ」はネパール語でゆっくりゆっくりという意味。焦らずに自分たちのペースで進むという決意が込められている。