知的・発達障害ある子に 安心の住まい

2016/10/27

朝日新聞 2016年10月24日

危険防ぐ工夫や改修法 建築士らが本に

 知的障害や発達障害のある子どもは、窓から飛び出したり、台所の火に強い関心を示したりする場合がある。危険を防ぎ、落ち着いて暮らせるためのアイデアを盛り込んだ本が出版された。『知的障害・発達障害のある子どもの住まいの工夫ガイドブック』(中央法規出版、税別2400円)。著者の一人、西村顕さんは1級建築士で、横浜市総合リハビリテーションセンター職員。医療や福祉の専門職とともに高齢者や障害者の住宅改修相談に乗ったり、住宅関係の調査研究をしたりしている。知的・発達障害の子どもがいる親も住まいに関わる悩みがあるが、こうした子ども対象には「あまり情報がない、困っている人たちの役に立てば」と、これまでの蓄積をまとめた。

 最も多い相談は、無断で外に出る悩みといい、玄関や窓の鍵などの改修案も示した。共著者の本田秀夫・信州大医学部付属病院子どものこころ診療部長は「本人が開けられない鍵をかけることは、一歩間違えると不当な行動制限になりかねない。子どもを管理する方法として使ってはいけない」と話す。鍵の設置には子供が「出たい」という意思を伝える手段の確保と、介助者と一緒に外出することの保障が不可欠とし、改修前にまず医療や福祉の専門家への相談を勧める。

 ガイドブックでは、実例をもとにした家全体の改修方法のほかに、場所やテーマごとに「すぐできる工夫」「しっかりと改修」といった複数の方法を紹介。費用の目安や、医師からのアドバイスも載せている。