「匿名でも 悼むことできる」 相模原事件報道に障害者家族

2016/10/23

朝日新聞 2016年10月15日

 マスコミ倫理懇談会の10月度例会(14日)で「神奈川県手をつなぐ育成会」の依田雍子(ちかこ)会長(74)が障害者に関する報道について講演した。

 相模原事件では県警が死亡した19人の氏名を公表していない。一方で、実名発表を求める関係団体もある。依田さんはインターネットで瞬時に情報が拡散することへの不安を挙げ「名前を知らなくても思いをはせ、悼むことができるのではないか。公表したくない人への配慮はなくてもいいのだろうか」と問いかけた。「自分の名前を出すことで自分のことを知ってほしい人もいればそうでない人もいる。本人自身がどう思っているか謙虚に想像してほしい」と多様な対応を呼びかけた。

 また、障害者を感動的な物語に仕立てる報道があると指摘し、「(自閉症の)息子との日常は笑いと怒りばかり。感動的な部分だけを伝えて一時的に関心を集めても、社会の障害者への理解は進まない」と話した。