
ともに暮らす社会へ(下)
朝日新聞 2016年8月24日
当事者、支援者、それぞれの立場からのメッセージ。
認め合い 支え合おう
タレント あべけん太さん(29) IT会社員で、「ダウン症のイケメン」としてテレビやミュージカルに出演。
「みんないたほうがいいんですよ。フレンドリーが大事」 事件はラインニュースで見た。悲しい。許せない、最低だねって友達にメールした。容疑者がどうしてそんなこと考えるようになったのか、分からない。ごめんなさいじゃないな、それで終わりじゃないよ。障害者もみんな一生懸命生きているし、頑張っているし、楽しく生きている。みんながフレンドリーになってほしい。認め合うってこと。
「知的障害者」といわれるのは嫌い。「障害者」って障害を特別に扱って、差別されている、ばかにされている感じがする。「知的障害者」じゃなくて「すてきな障害者」と呼ばれていると思うようにしている。
僕は人が好き。みんなで仲良くすればいい。人として、友達になろうぜって。障害があっても明るい未来があるんだから、みんな元気にしてほしい。
漫画家 山本おさむさん(62) ろう重複障害者を取り上げた「どんぐりの家」作者。
「序列をつける社会、やめませんか」 漫画の世界では障害者分野は差別表現を使うためタブー視されていた。でも、母親たちの手記などを読んで障害者や家族の人生は面白いドラマだと感じ、障害者をテーマに3作を描いた。容疑者は「意思疎通ができない障害者」を標的にしたと言っているらしいが、意思疎通とは何だろう。「どんぐりの家」では、ボランティアが3か月間話しかけても、よだれをふいても反応がない。でも先輩に「手を握ったとき弱く握り返してこなかったか?」と聞かれる。そんな反応に何の意味があるのかという人があれば、「ならばあなたの言葉にはどれほどの意味があるのか」と聞きたい。
障害者たちは、人間に序列をつける社会にずっと疑問を投げかけてきた。障害者を「無駄」と思う人ほど、自身が社会にはじかれ、さらに弱い人を攻撃して優位に立とうとしているように見える。障害者も健常者も社会からはじかれる人がいないよう、今こそ障害者が築いてきた「必要な人には支援して支え合い共に生きる」視点で社会を変えないといけない。
社会福祉法人理事 伊澤雄一さん(59) 社会福祉法人「はらからの家福祉会」理事・総合施設長。
「いろいろな人が融合できる社会が健全で本当に強い社会」 事件をめぐり、精神障害がクローズアップされた。内閣府の統計によると、約40人に1人は精神障害者。精神疾患はありふれた病気だ。障害はその人のすべてでなく、健康な部分も併せもっている。精神障害者の支援をしてきて、彼らの優しさに生かされていると感じる。「病友」として同じ疾患の人の強力な支援者になることもある。
地域のイベントにブースを出し、地域の方と精神障害者が施する機会をつくっている。障害のある人とない人が知り合うことが大事。世の中のいろいろな人が混在し融合できる社会にしていくための取り組みがもっと必要。





