
ともに暮らす社会へ(中)
2016/08/26
朝日新聞 2016年8月23日
地域の中 心通わせる
地域社会で暮らす障害者たちが思いを伝える方法を探った。
東京都三鷹市の障害者施設。岡部亮祐さん(23)を迎えに来たのはヘルパーの中田了介さん(36)。知的障害と自閉症がある岡部さんの障害区分は最も重い6。会話はつながらないが、口癖やしぐさで意思は通じる。岡部さんは18歳で実家を離れ、アパートで暮らす。日中は通所施設で過ごし、平日の午後4時から翌朝8時までの間と週末は、ヘルパー9人がローテーションを組み、行動障害がある岡部さんに危険がないよう交代で常に付き添う。
岡部さんの両親は将来を考え、小学校4年の時からヘルパーをつけ、地域で自立できるよう準備。生活費は障害年金や東京都の重度障害者手当などで賄い、福祉サービスは自己負担なく利用できる。2年前からは知的障害者も「重度訪問介護」の対象となり、長時間ヘルパーをつけられるようになった。
東京都練馬区の障害者施設。安部井希和子さん(29)は重症心身障害者だ。自宅で暮らし、週3回施設に通う。希和子さんが初めて「あーあん」と母を呼んだのは7歳のころだった。「ねーあん(お姉ちゃん)」、「はい」とともに話せる三つの言葉と、表情で表す「イエス」で返事を返す。「何もできないように見えるけど、周りの人をじっと観察して協力しようとしている」、赤ちゃんだっためいに微笑みかけたり「ここまで懸命に生きてきた時間で、娘も慈しむ気持ちをはぐくんできたんですね」と母は語る。





