ハンガリーで認知症国際会議 上・下

2016/06/14

朝日新聞 2016年5月25日、26日

 4月下旬に開かれた会議で取材した参加者の思い、各国の取り組みを報告。

認知症 人生をあきらめない 
 8年前に認知症と診断されたオーストラリアのスワッファーさんへの聞き書き。
 診断後は「人生が変わってしまった」と思い、1ヵ月半泣き続けたが、ある認知症の男性の言葉をきっかけに前向きに変わった。その男性は認知症患者をつなぐ国際組織の立ち上げに携わった、リチャード・テイラーさん。彼は「私たちは勇敢であるべきだ」、「認知症は勇気を与えてくれる」と言っていた。
 家族の存在も大きい。診断された時高校生だった次男は、笑い飛ばした。彼のユーモアが、ストレスから解放してくれた。
 認知症について誤解しないでほしい。不幸な事故で片足を失ったら義肢をつけて日常生活を送れるようにしてもらう。認知症も同じ、悪くなるところもあれば、変わらないところもある。自分の経験をブログにつづり、世界中の人にメッセージを送り続けている。いろいろな人たちに自分たちのことを知ってもらい、理解を広げてもらいたい。認知症の人たちには、「あなたのことを軽く見て、尊敬しない人のことは無視しなさい。あなたの人生をあきらめないで」と伝えたい。

ケア 心の内に目を向けて
 フィンランドからは、認知症の人やその家族が集い、歌作りをするプロジェクト「記憶を音楽に」について発表があった。プロジェクトの活動は、①思い出を語り 、②歌詞を考える、③歌を練習する、④ミュージックビデオを作ってネットに配信する、という流れだ。①②を通して参加者のつながりが深まる。
 会議では、当事者の心のうちに目を向けた取り組みや研究が印象的だった。

 来年、この国際会議は京都で開催される。