
障害者の観劇を支援
産経新聞 2016年5月25日
NPO理事長・廣川麻子さん 劇場取り組みに期待
障害者差別解消法が4月1日施行された。文化施設も誰もが芸術文化に触れられる場となることが求められる。
聴覚障害のある廣川麻子さんは2009年、留学先のロンドンで、ミュージカル「レ・ミゼラブル」を観劇し、障害者へのサポートにも感動したという。「舞台下手に手話通訳が立ち、健常者と同じ空間、タイミングで作品を楽しめた。私たちも観客として受け入れられていると感じました」
ロンドン劇場組合では、国の助成も受け、各公演期間中に1回、手話通訳や字幕などサポート付きの公演を設けることが決められていた。バリアフリー公演の情報を集めた「アクセス・ロンドン・ガイド」も無料配布され、舞台を楽しめる環境が整っていたという。
日本ろう者劇団の俳優でもある廣川さんは1年間の留学中、約60本を観劇した。日本では台本貸出すら断られた経験があり、「我慢できない」と帰国後の平成24年、障害の有無にかかわらず観劇を支援するNPO法人「シアター・アクセシビリティ・ネットワーク」(TA-net)を設立。理事長として、障害者と劇団双方の相談に応じ、26年には字幕や音声ガイドなどサポート付き公演情報を集めた検索サイト(http://ta-net.org/event/)を開設した。
賛同者は徐々に増え、同サイトには現在、障害者の観劇支援に積極的な舞台が300件近くアップされ、障害者のアクセスも増えている。障害者向けに舞台説明会を行う東京芸術劇場や世田谷パブリックシアターのような取り組みはまだ少数派。だが、廣川さんは「受付の筆談対応も立派なサポート」と小さな一歩にも期待を寄せる。
活動が認められ、廣川さんは27年度文化庁芸術選奨新人賞を受賞。「観劇を諦めていた人が舞台の楽しさを知れば、劇場にとっても市場拡大につながる」と、法律施行を追い風に観劇支援を続ける。





