子の障害 カルテ義務化  文科省 小中高一貫20年度以降に

2016/05/16

朝日新聞 2016年5月15日

 障害のある子どもを小学校から高校まで一貫して支援し、進学や就労につなげるため、文部科学省は進学先に引き継げる「個別カルテ(仮称)」を作るよう、各校に義務づける方針を固めた。通常学級に通う子どもも対象で、2020年度以降に導入する。
 いまの学習指導要領では、子どもの目標や支援内容についての「個別の教育支援計画」や、教科ごとの指導状況などを記す「個別の指導計画」を作るよう勧めているが、義務化はしていない。文科省の15年度の調査では、支援計画は公立小中の1割、公立高校の4割が作成していなかった。さらに、引き継ぐかどうかは各校が独自に判断している。このため進学先の学校が障害に応じた最適な指導方針を把握しきれていない恐れがあると文科省はみている。
 個別カルテは、今の支援計画と指導計画をもとに、子どもの健康状況、保護者と本人の希望や目標などを書き込み、小学校から高校まで引き継ぐことを前提とした書式を目指す。
 義務化は公立小中の特別支援学級の子ども(15年5月で約20万人)と、比較的軽い障害や発達障害で通常学級に在籍しながら一部の授業を別に受ける「通級指導」の子ども(同約9万人)を中心に考えている。高校については18年度から始まる通級指導の生徒らを対象とする見込み。私立校に広げるかは今後検討する。