
震災避難 障害者への支援確保を
朝日新聞 2016年4月24日
社説
「段差があり、車いすの人は入れないと断られた」
「どこからも情報が来ず、車中泊を続けた」
熊本県を中心に続く震災で、命をつなぐはずの避難所に入れない障害者が続出している。
一般の避難所では生活が難しい障害者や高齢者には、「福祉避難所」が用意されるはずだった。あらかじめ市区町村と協定を結んだ学校や福祉施設などである。だが、現実にはうまく機能しなかった。
熊本市では、避難の際に手助けがいる「要支援者」は約3万5千人登録されていた。これに対し、福祉避難所の協定を持つ施設は176あったが、実際に受け入れる施設はなかなか増えなかった。ケアする人が被災して人手不足だったり、施設も被害があり環境が整わなかった事情がある。ボランティアを募り、22日までにやっと33カ所が開設したが、入所者は80人超どまり。介助の余裕がなく、場所の提供しかできない、と嘆く施設もある。
福祉避難所に入れない障害者らにとって、長引く震災は深刻な生活苦をもたらす。安否確認も思うように進まなかった。
こうした中、熊本市の熊本学園大は最大約60人の障害者や高齢者を受け入れており、注目されている。もともとはグラウンドが広域避難所に指定されていただけだったが、相次ぐ強震で住民が集まり始めたため、4教室を開放した。さらに、校舎内の大ホールを要支援者専用にし、大学関係の介護福祉士や学生ボランティアらが24時間、避難者を見守る体制を作った。
今月施行された障害者差別解消法は、「合理的配慮の提供」を公的機関の義務と定めている。障害者から社会的な障壁を取り除く要請があれば、無理ない範囲で対応するという精神を実現するものだ。
避難者は今も8万人近い。その中で障害者らは、健常者と同じように暮らすのは難しい。要支援者名簿をもとに安否確認する仕組みや、福祉施設同士が広域で職員を派遣し合う枠組みなどを平時から準備したい。





