
デコボコだって大丈夫 「妻と子 5人が発達障害」 平岡家の歩み
朝日新聞 2016年4月2日
なぜ当たり前のことができないんだ…、那覇市の平岡禎之さん(56)はかつて、よく子どもを怒鳴って叱っていたという。妻と4人の子どもが発達障害で得手不得手はデコボコ。トラブル続きの家族は、「知ること」で大きく変わった。
まさか我が子が
我が子に発達障害の可能性があると知ったのは6年前。中学生の次男は、他人の物を間違えて持ち帰ったり、団体競技でパニックを起こしたりしていた。同じ頃、小学校教師として働き始めた長女は、うつと診断され、求職を余儀なくされた。そんな時、発達障害についての冊子を読んで驚いた。「うちを観察して書いたんじゃないか」と思うほど、4人の子ども全員に当てはまった。
二十数年の子育てで不可解だった場面が、走馬灯のようによみがえった。「わかるまで正座してろ!」と怒鳴り、手を挙げたこともあった。「だらしない、矯正しなければ」と思っていた。だが、時間の感覚がつかみづらい、思ったことを言葉や態度でうまく表現できない、などの障害の特性だったのだ。「困っていたのは子ども自身だった」と、申し訳なさで涙が止まらなかった。
一方、妻の成子さん(52)も、周りと同じようにできないことに苦しんできた。「常に緊張している感じだった違和感に、名前が与えられた」と解放感を感じた。
ほめて生活安定
夫婦で猛勉強を始めた。子どもを辛抱強く観察する、失敗を責めず気づきを促す。家族会議で困り事への対処法を考える。子どもの自己肯定感を高める行動療法だ。読み書きが苦手な次男は絵で見る参考書や、行に定規を当てて読むなどの工夫で意欲がアップした。日程管理が苦手な長女は、一緒に予定を立てることで生活が落ち着いた。
ある日、成子さんが「私たちは普通の人とはものの感じ方が違う『火星人』ね。でも堂々と生きていけばいいのよ」と言った。平岡さんは2013年から「沖縄タイムス」で4コマ漫画とエッセー「うちの火星人」を連載。これを通して、家庭でも互いの理解が深まった。
平岡さんは話す。「気づくのは遅かったけれど、接し方を変え、環境を整えるだけで、子どもたちが自信をつけて変わった。失敗しても、笑って乗り越えられるように一緒に考えていきたいですね」





