「筆談」トークショーで健在ぶり くも膜下出血でまひ・言語障害 神足裕司さん

2016/04/03

朝日新聞 2016年4月1日

 コラムニストの神足裕司さん(58)を囲むトークイベントが3月28日夜、東京都内で開かれた。2011年9月にくも膜下出血で倒れて以降、初めてファンの前に姿を現した。言語障害で会話は難しいが、「筆談」で参加。執筆への意欲は衰えず、4月から朝日新聞月曜日朝刊の「Reライフ」面でコラムを始める。
 トレードマークの蝶ネクタイを締めた神足さんが車いすで会場に現れると、ファンら約70人が拍手と歓声で迎えた。スクリーンには、神足さんが関心を寄せるテーマが映し出され、それぞれに対して神足さんが事前に用意した文章が紹介される「コラムのライブ」のように進行。ときどき学生時代からの仲間のえのきどいちろうさん(56)や同業の小田嶋隆さん(59)が代弁したり補ったりしながら、会場は終始笑いに包まれた。最後に感想を問われた神足さんは「いい感じです」と筆談で告げた。
 神足さんは慶応大在学中からライターとして活躍、1984年に出した共著『金魂巻』がベストセラーになった。90年代には、異色のグルメルポを週刊誌に連載したほか、テレビやラジオ、映画など幅広く活躍した。
 くも膜下出血で倒れたのは飛行機の中だった。左半身マヒなどの重い後遺症を負ったが、1年後自宅に戻るとペンを握って少しずつ文章を書くようになった。えのきどさんのラジオ番組には、妻の明子さん(56)の文章と合わせて朗読する「コータリさんからの手紙」というコーナーが設けられ、それらをまとめた単行本『一度死んでみましたが』(集英社)が13年12月に出版された。今ではウェブサイトや雑誌で連載を持つなど執筆活動を再開。扱うテーマは病に倒れる前と変わらず、芸能ネタから時事問題まで幅広い。最近は障害を抱える当事者としての発信も増えている。
 えのきどさんは「新しいもの好きで面白がりの神足さんは、かつて外車の試乗コラムを書いたように、今は介護ロボットの体験ルポを執筆する。現在も好奇心は旺盛で、体当たり取材も健在」と語る。