発達障害 大学生のケア後手

2016/03/04

朝日新聞 2016年2月27日

 大学・院生、8年前の20倍 4月から配慮義務化
 4月から障害者への配慮を大学に義務づける法律が施行される。急増した発達障害の大学生についての体制作りが課題になっている。

「相談場所を増やして」
 発達障害は、広汎性発達障害、注意欠陥・多動性障害などの総称。大学では、履修登録ができない、ノートが取れない、友人ができない、などの形で表れ、それを苦に通わなくなる学生もいる。日本学生支援機構の調査(2014年度)では、発達障害がある大学生・院生で卒業したのは7割未満、就職したのはその3割だ。
 同機構によると、発達障害の診断書を持つ大学生・院生は14年度に2282人。全体の0.1%未満だが、8年前の21倍だ。文部科学省は12年の推計で公立小中学生の6.5%に発達障害の可能性があるとしており、大学関係者は「把握できているのは一部にすぎない」という。
 05年の発達障害支援法施行などで広く知られ、受験時の配慮は進んだが、入学後の大学の対応は十分ではない。発達障害の都内大学生(23)は、大学の障害者支援室で、「対応しているのは身体・視覚障碍者だけ」と言われた。「相談場所を増やすか、対応できないなら外部の場所を教えて」と訴える。
 帝京科学大学の三尾真琴総合教育センター長は「対応の遅れはうつや引きこもりなどの二次障害を招きかねない。支援は急務だ」と指摘する。

就職にも壁 支援の例も
 障害者差別解消法が4月に施行されると、平等に学べるような合理的配慮が国公立大では義務、私立でも努力義務となる。身体障害者への配慮は一定程度進んだ。一方、発達障害への支援には、見ただけではわからず、設備面だけでなく個人に合った長期支援が必要なので、悩む。
 早大では04年ごろから発達障害の学生が増え、教員研修などを始めた。14年6月には「発達しょうがい学生支援部門」を新設、昨年4月から毎日、コーディネーターが修学相談にのる。樫木啓二学生支援コーディネーターは、「法的に要請され、支援の必要な学生が増えている中、支援体制を整えてきた。多様性のある学生の一人としていかに支援するかが課題だ」と話す。
 京大は13年8月、障害学生支援、キャリアサポート、カウンセリングの担当部門を、学生総合支援センターの下に統合した。就学支援の必要な学生は7年前は1,2人だったが、今は10人。村田孝チーフコーディネーターは「オーダーメイドの継続的な支援が欠かせず、必要に応じて学外の専門機関と連携することが必須」。
 他大に先駆けて07年に支援室を立ち上げた富山大では、10年ごろから就活も支援する。西村優紀美学生支援センターアクセシビリティー・コミュニケーション支援室長は「就活支援が今後の大きな課題になると話す。
 東京、神奈川の9拠点で発達障害者の職業訓練をしているKaienに通う大学生は、3年前は10人程度だったが、今は120人。就職活動をした卒業生の8割近くが就職した。鈴木慶太社長は「障害者枠での就職も選択肢に入れ、適切に支援すれば就職できる」と話す。