
吃音の若者:しゃべるって楽しい ネットラジオで番組1年
毎日新聞 2015年11月27日
言葉がうまく出なかったり、どもったりする「吃音(きつおん)」を抱える若者たちが悩みや日常生活を語り合うインターネット上の独自番組「吃音ラジオ」が、12月5日で1年を迎える。人前で話すのが怖かった若者が「ラジオ」という音の世界に勇気を持って踏み出したことで「しゃべることが本当に楽しいと思えるようになった」と笑顔を見せる。
「1周年なのでお祝いのワインを持ってきました」。21日の収録で、ときには言葉につかえながら語るのは、埼玉県在住の大学2年、遠藤百合加さん(20)。番組の提案者だ。
小学校低学年のころから、最初の音が出にくい吃音を抱えてきた。国語の音読や発表が怖かった。友達との何気ない会話も心の中で言葉を準備し、スムーズに話せると思った時だけ口を開く。「もどかしい気持ちがいつもあった」。
昨年11月、ツイッターで「ラジオをやってみたい。聞き苦しいいこともあるだろうけど吃音を知ってもらう機会になるのではないか」とつぶやくと、同じ症状の人たちから「やろう」と声が上がった。
現在、東京都の会社員、広瀬功一さん(29)と埼玉県の音響エンジニア、青木瑞樹さん(29)と月1回のペースで放送を続ける。30分から1時間の番組では毎回ゲストを招き、吃音の悩みなどを語り合う。どもって言葉が出なくても気にしない。リスナーからは「ラジオに出演したい」「吃音でよかったと思うことは?」などの質問や意見が寄せられる。
遠藤さんの吃音のことを周囲で知るのは、今も家族や限られた友人だけだ。番組で症状を隠さず表現することで、少しずつ自分が変わっているのを感じる。「ラジオを通して多くの人に知ってもらい、吃音を持つ人が話すことをもっと楽しめるようになればいい」。吃音ラジオの詳細はkituonradio.web.fc2.com/
【ことば】吃音
特定の単語の一部を繰り返したり、伸ばしたり、単語が出にくかったりする「発達障害」の一種。人によって言いづらい言葉は異なる。幼少期の発症が多く、成人しても症状が続く人もいる。人口の約1%が吃音の症状を抱える。発達障害の一種とされ、原因は明らかになっておらず根本的な治療法も確立されていない。





