「後見制度を使ったら失職」知的障害の吹田市元職員提訴

2015/07/31

朝日新聞 2015年7月25日

 軽度の知的障害があり、大阪府吹田市の臨時職員として働いていた男性が国の成年後見制度を利用し、意思決定を支える「保佐人」ををつけたところ、公務員の欠格条項に抵触し雇い止めされた。男性はこれを不当として24日、市に地位確認などを求める訴訟を大阪地裁に起こした。弁護団によると、地方公務員法の欠格条項が、法の下の平等を保護した憲法に違反するかを問う訴訟は初めてという。

 原告の塩田和人(かずひと)さん(49)は2006年に吹田市に採用され、職員の福利厚生関連の部署でデータ入力事務を担当。半年から1年ごとに任用を更新された。

 だが11年5月、大阪家裁の審理を経て司法書士を保佐人につけたところ、保佐人や後見人がついた人は公務員になれないとした地方公務員法に触れるとして市から更新を拒まれ失職した。欠格条項の対象とならない「補助人」に切り替えて同年12月に復職したが、再更新しない条件がつき、12年5月に雇い止めされた。

 塩田さんは、雇い止め以降の未払い賃金などの支払いも求めている。吹田市は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。